大阪市教育委員会次世代学校支援事業の成果(玉置)

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 大阪市教育委員会が、3年間にわたって実証研究してきた「次世代学校支援事業」の成果をまとめた冊子が、文部科学省サイトから読めるようになりました。いずれもEDUCOM製品がフル活用されています。

 詳しくは冊子をお読みいただければと思いますが、事業の「目的」をここに掲載しておきます。

 学校の有益なデータ ( エビデンス ) の見える化により、教育の質の向上へ

 事業では、「校務支援システム」と「学習系システム」を安全かつ有効的に連携させ、これらのシステムを日常的に使うことによっておのずと蓄積される校務や学習にかかるデータを集約し、学校の状況や児童生徒の学びを一元化し、可視化する新システム「ダッシュボード」を導入しました。児童生徒自らの学習の振り返りや、教員の指導力の向上、学級・学校運営の改善や教育の質の向上を図る手段として、その活用方法やシステム要件(情報セキュリティ対策を含む)について検証するための実証研究を実施しました。

 「ダッシュボード」の活用により、児童生徒、教員、管理職のそれぞれにとって有益なデータ(エビデンス)の見える化を実現し、学級・学校運営の深化充実を目指すとともに、学校に新しい価値を提供し、教員や管理職の利便性を高めることを目的としています。

詳細は、ぜひ冊子をご覧ください。

【大阪市教育委員会】次世代学校支援事業ガイドブック(第1章〜第3章) (PDF:7.0MB) PDF

【大阪市教育委員会】次世代学校支援事業ガイドブック(第4章〜第5章) (PDF:3.4MB) PDF

変化を進化につなげることを意識しましょう(大西)

変化と進化について、ダーウィンの進化論の誤用が話題になっています。以前「学校を進化させましょう(大西)」で変化を進化にすることを述べましたが、あらためて変化を進化にする視点についてお伝えしたいと思います。

漠然と進化するとは以前よりもよくなることと思われる方が多いと思いますが、生物における進化とは環境に適応したものが生き残って種を存続させるということです。学校でいいかえれば、社会や取り巻く環境の変化に対応して地域や保護者、子どもたちから選ばれる学校となることです。単に変化すればよいのではなく、そこに選ばれるという評価が加わることがポイントになります。今回の新型コロナウイルスの出現は、今までなかったような急激な環境の変化をもたらしました。この変化に対応できるような進化が求められています。学校の中だけに目を向けていると次第に以前の状況に戻りつつあるように感じるかもしれません。しかし、テレワークを今後も続ける企業はかなりの数になり、テレワークにより単身赴任を解消するという話も聞きます。コミュニケーションの手段が見直され、社会のあり方は確実に変化しています。私立の学校や受験がある高等学校であれば入学希望者の数を見ることで選ばれる学校になっているかどうかはわかりやすいのですが、学区制のある公立小中学校ではなかなかそのことは見えません。気がつくと地域や保護者の信頼を失くして、学校運営が成り立たなくなってしまうことにもなりかねません。
学校が変化を進化につなげるためには、地域や保護者とのコミュニケーションを密にとって変化したことへの評価を受け続けることが求められます。私が現役のころは、「保護者は自分の子どものことしか考えていない」「教育のことをわかっていないのに口を出す」といった言葉が平気で聞かれました。学校が伝える努力、相手の声を聞く姿勢に欠けていたことがよくわかります。さすがに今はこのような言葉を発する先生はいないでしょうが、このことが意識されているかどうかは学校によって異なるように思います。
学校再開、教室の消毒、給食の配膳への配慮、夏休みの短縮への対応など先生方は目がまわるような毎日を過ごされていると思います。目の前の仕事に追われそれ以外には時間を割けない状況だと思います。だからこそ、こまめに地域や保護者に学校の現状や活動その意図を伝え、意見を吸い上げていかないと学校の思いと地域や保護者の思いが乖離してしまいます。
ここで意識してほしいのがICTの活用です。それこそ学校ごとに環境は異なるかもしれませんが、ホームページやメールシステムを使って学校の取り組みを伝えることは多くの学校で可能だと思います。また、アンケートシステムを活用することで集計にかかる作業を大きく減らすことができます。そういった環境がない学校に対して、株式会社EDUCOMでは、学校と保護者をつなぎアンケートなども簡単に行える双方向のシステム「C4th Home & School」の無償提供も行っています。学校の進化のためにも積極的に活用していただければと思います。

変化を進化につなげるために、地域や保護者とのコミュニケーションを今まで以上に大切にしてほしいと思います。
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学校を進化させましょう(大西)

ほとんどの地区で学校が再開されていると思いますが、その状況はまちまちだと思います。子どもたちを2つのグループに分けて隔日登校とし、オンライン会議システムを使って通常の時間割で校内と家庭同時に授業をしている学校もあります。登下校や給食、掃除の進め方などの工夫に多くの労力を割かれ、授業は子ども同士の接触を避けるといった指示だけで授業者の裁量に任されているという学校もあります。接触を避けながらどうやって子ども同士のかかわりを生み出そうと悩んでいる先生もたくさんいらっしゃいますし、自分がしゃべる量を減らして、板書を増やして子どもたちに写させることを中心にしている方も目にします。教科書すべてを授業で網羅するのではなく、学校ではどこを中心にどんな活動するのか、家庭ではどんな学習を求めるのかを考え工夫している先生もいらっしゃいます。
どれが正解ということはありませんが、この事態に対応するためにどの先生もいろいろな工夫をしています。

ただ気になるのが、「いつになったら以前に戻れるのだろう」「早く以前と同じに戻ってほしい」と今の状態を一時的なものと考え、新型コロナウイルスが登場する以前に戻ることを願っている学校や先生が一定数いることです。今回の新型コロナウイルスによる学校の変化は一過性のものではありません。ICT機器の活用が進み、授業の進め方も不可逆的に変わっていきます。以前と違った授業がよいということではありません。今行われている授業と以前の授業を比較し、それぞれのよいところと課題を評価しながらよりよい授業へと進化させることが大切です。「今までの授業ではほとんど質問や発言しなかった子どもがオンライン授業では自分の意見を発信したり質問を送ってきたりした。これまでの授業で発言しにくい雰囲気をつくっていたのかもしれない」と授業を見なおすヒントを得た先生もいらっしゃいます。
学校全体が進化していくためには、こういった先生方の学びを共有することが大切になります。週案などに書かれたよい気づきを統合型校務支援システムで公開して共有するのも一つの方法です。また、日常的に授業を見合い、互いのよいところを学び合うこともとても有効ですが、いまの状況では物理的に難しいかもしれません。管理職を中心に先生方の授業を積極的に観察し、よい点を評価して学校全体に共有していくことが求められます。統合型校務支援システムを活用して内部に発信し、先生同士の交流のきっかけにするとよいでしょう。授業のよいところやポイントを動画とコメントで簡単に紹介する授業アドバイスツール(EDUCOMで開発、実証実験中)などもこれから世に出てきます。先生方が試行錯誤しながら授業を変えようとしている時だからこそ、それを評価し、共有し、学校全体でよりよいものにしていく工夫をお願いしたいと思います。

発信するという視点では、ホームページで授業を紹介するのも有効です。地域や保護者に学校がどのように変わろうとしているのかをわかりやすく伝えることができます。全国一斉の休校措置から続く一連の動きで、世間の注目は学校に集まっています。マスコミを通じて連日のように学校の様子が紹介され、ホームページなどでも各学校の取り組みを簡単に知ることができます。学校ごとの取り組みの違いが保護者の目にもはっきりと見えています。他の地域と自分の子どもたちが通う学校を比較して、なぜこのような授業をやらないのかと保護者が声を上げる時代になりました。他の地域と比較されてこうしてほしいと言われても、現場の環境は異なるので同じようにはできません。学校の環境がどうなのか、その上でどのような工夫をしているのか、そのねらいや意図を含めてわかりやすく伝えることが大切です。環境のせいでできないと言い訳をするのではなく、その環境の中でできることを工夫していることを伝えるのです。環境が整うことを待っているのではなく、常に工夫して対応していることを知ってもらうことで学校への信頼は増すはずです。今後、信頼を得る学校、なくす学校の差が大きくなると予想しています。

今学校は変革の波の真っただ中にいます。この状況を一時的なものとみて、早く元に戻りたいと願うのではなく、環境の変化に適応して、学校を進化させることを意識してほしいと思います。
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