コロナ禍で新しいことに挑戦する校長(心の天気活用)

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 月刊プリンシパル2020年9月号で、「コロナ禍で新しいことに挑戦する校長」と題して、大阪市の校長・福島先生の取組を紹介しました。

 福島校長は分散登校で自宅にいる生徒一人一人と、オンライン面接をされたのです。生徒とコミュニケーションをとるためのネタは、昨年から始めた「心の天気」データなどが一元化されたダッシュボード情報です。

 詳しくはここをクリックしてお読みください。

個別最適化学習アプリ導入に際して考えるべきこと(玉置)

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 GIGAスクール構想に伴い、個別最適化学習が話題になっています。

 個別最適化学習アプリを導入する際に考えておくべき事をまとめました。ぜひご覧ください。ここをクリックすると見ることができます。

大阪市教育委員会次世代学校支援事業の成果(玉置)

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 大阪市教育委員会が、3年間にわたって実証研究してきた「次世代学校支援事業」の成果をまとめた冊子が、文部科学省サイトから読めるようになりました。いずれもEDUCOM製品がフル活用されています。

 詳しくは冊子をお読みいただければと思いますが、事業の「目的」をここに掲載しておきます。

 学校の有益なデータ ( エビデンス ) の見える化により、教育の質の向上へ

 事業では、「校務支援システム」と「学習系システム」を安全かつ有効的に連携させ、これらのシステムを日常的に使うことによっておのずと蓄積される校務や学習にかかるデータを集約し、学校の状況や児童生徒の学びを一元化し、可視化する新システム「ダッシュボード」を導入しました。児童生徒自らの学習の振り返りや、教員の指導力の向上、学級・学校運営の改善や教育の質の向上を図る手段として、その活用方法やシステム要件(情報セキュリティ対策を含む)について検証するための実証研究を実施しました。

 「ダッシュボード」の活用により、児童生徒、教員、管理職のそれぞれにとって有益なデータ(エビデンス)の見える化を実現し、学級・学校運営の深化充実を目指すとともに、学校に新しい価値を提供し、教員や管理職の利便性を高めることを目的としています。

詳細は、ぜひ冊子をご覧ください。

【大阪市教育委員会】次世代学校支援事業ガイドブック(第1章〜第3章) (PDF:7.0MB) PDF

【大阪市教育委員会】次世代学校支援事業ガイドブック(第4章〜第5章) (PDF:3.4MB) PDF

変化を進化につなげることを意識しましょう(大西)

変化と進化について、ダーウィンの進化論の誤用が話題になっています。以前「学校を進化させましょう(大西)」で変化を進化にすることを述べましたが、あらためて変化を進化にする視点についてお伝えしたいと思います。

漠然と進化するとは以前よりもよくなることと思われる方が多いと思いますが、生物における進化とは環境に適応したものが生き残って種を存続させるということです。学校でいいかえれば、社会や取り巻く環境の変化に対応して地域や保護者、子どもたちから選ばれる学校となることです。単に変化すればよいのではなく、そこに選ばれるという評価が加わることがポイントになります。今回の新型コロナウイルスの出現は、今までなかったような急激な環境の変化をもたらしました。この変化に対応できるような進化が求められています。学校の中だけに目を向けていると次第に以前の状況に戻りつつあるように感じるかもしれません。しかし、テレワークを今後も続ける企業はかなりの数になり、テレワークにより単身赴任を解消するという話も聞きます。コミュニケーションの手段が見直され、社会のあり方は確実に変化しています。私立の学校や受験がある高等学校であれば入学希望者の数を見ることで選ばれる学校になっているかどうかはわかりやすいのですが、学区制のある公立小中学校ではなかなかそのことは見えません。気がつくと地域や保護者の信頼を失くして、学校運営が成り立たなくなってしまうことにもなりかねません。
学校が変化を進化につなげるためには、地域や保護者とのコミュニケーションを密にとって変化したことへの評価を受け続けることが求められます。私が現役のころは、「保護者は自分の子どものことしか考えていない」「教育のことをわかっていないのに口を出す」といった言葉が平気で聞かれました。学校が伝える努力、相手の声を聞く姿勢に欠けていたことがよくわかります。さすがに今はこのような言葉を発する先生はいないでしょうが、このことが意識されているかどうかは学校によって異なるように思います。
学校再開、教室の消毒、給食の配膳への配慮、夏休みの短縮への対応など先生方は目がまわるような毎日を過ごされていると思います。目の前の仕事に追われそれ以外には時間を割けない状況だと思います。だからこそ、こまめに地域や保護者に学校の現状や活動その意図を伝え、意見を吸い上げていかないと学校の思いと地域や保護者の思いが乖離してしまいます。
ここで意識してほしいのがICTの活用です。それこそ学校ごとに環境は異なるかもしれませんが、ホームページやメールシステムを使って学校の取り組みを伝えることは多くの学校で可能だと思います。また、アンケートシステムを活用することで集計にかかる作業を大きく減らすことができます。そういった環境がない学校に対して、株式会社EDUCOMでは、学校と保護者をつなぎアンケートなども簡単に行える双方向のシステム「C4th Home & School」の無償提供も行っています。学校の進化のためにも積極的に活用していただければと思います。

変化を進化につなげるために、地域や保護者とのコミュニケーションを今まで以上に大切にしてほしいと思います。
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学校を進化させましょう(大西)

ほとんどの地区で学校が再開されていると思いますが、その状況はまちまちだと思います。子どもたちを2つのグループに分けて隔日登校とし、オンライン会議システムを使って通常の時間割で校内と家庭同時に授業をしている学校もあります。登下校や給食、掃除の進め方などの工夫に多くの労力を割かれ、授業は子ども同士の接触を避けるといった指示だけで授業者の裁量に任されているという学校もあります。接触を避けながらどうやって子ども同士のかかわりを生み出そうと悩んでいる先生もたくさんいらっしゃいますし、自分がしゃべる量を減らして、板書を増やして子どもたちに写させることを中心にしている方も目にします。教科書すべてを授業で網羅するのではなく、学校ではどこを中心にどんな活動するのか、家庭ではどんな学習を求めるのかを考え工夫している先生もいらっしゃいます。
どれが正解ということはありませんが、この事態に対応するためにどの先生もいろいろな工夫をしています。

ただ気になるのが、「いつになったら以前に戻れるのだろう」「早く以前と同じに戻ってほしい」と今の状態を一時的なものと考え、新型コロナウイルスが登場する以前に戻ることを願っている学校や先生が一定数いることです。今回の新型コロナウイルスによる学校の変化は一過性のものではありません。ICT機器の活用が進み、授業の進め方も不可逆的に変わっていきます。以前と違った授業がよいということではありません。今行われている授業と以前の授業を比較し、それぞれのよいところと課題を評価しながらよりよい授業へと進化させることが大切です。「今までの授業ではほとんど質問や発言しなかった子どもがオンライン授業では自分の意見を発信したり質問を送ってきたりした。これまでの授業で発言しにくい雰囲気をつくっていたのかもしれない」と授業を見なおすヒントを得た先生もいらっしゃいます。
学校全体が進化していくためには、こういった先生方の学びを共有することが大切になります。週案などに書かれたよい気づきを統合型校務支援システムで公開して共有するのも一つの方法です。また、日常的に授業を見合い、互いのよいところを学び合うこともとても有効ですが、いまの状況では物理的に難しいかもしれません。管理職を中心に先生方の授業を積極的に観察し、よい点を評価して学校全体に共有していくことが求められます。統合型校務支援システムを活用して内部に発信し、先生同士の交流のきっかけにするとよいでしょう。授業のよいところやポイントを動画とコメントで簡単に紹介する授業アドバイスツール(EDUCOMで開発、実証実験中)などもこれから世に出てきます。先生方が試行錯誤しながら授業を変えようとしている時だからこそ、それを評価し、共有し、学校全体でよりよいものにしていく工夫をお願いしたいと思います。

発信するという視点では、ホームページで授業を紹介するのも有効です。地域や保護者に学校がどのように変わろうとしているのかをわかりやすく伝えることができます。全国一斉の休校措置から続く一連の動きで、世間の注目は学校に集まっています。マスコミを通じて連日のように学校の様子が紹介され、ホームページなどでも各学校の取り組みを簡単に知ることができます。学校ごとの取り組みの違いが保護者の目にもはっきりと見えています。他の地域と自分の子どもたちが通う学校を比較して、なぜこのような授業をやらないのかと保護者が声を上げる時代になりました。他の地域と比較されてこうしてほしいと言われても、現場の環境は異なるので同じようにはできません。学校の環境がどうなのか、その上でどのような工夫をしているのか、そのねらいや意図を含めてわかりやすく伝えることが大切です。環境のせいでできないと言い訳をするのではなく、その環境の中でできることを工夫していることを伝えるのです。環境が整うことを待っているのではなく、常に工夫して対応していることを知ってもらうことで学校への信頼は増すはずです。今後、信頼を得る学校、なくす学校の差が大きくなると予想しています。

今学校は変革の波の真っただ中にいます。この状況を一時的なものとみて、早く元に戻りたいと願うのではなく、環境の変化に適応して、学校を進化させることを意識してほしいと思います。

ゼミ生スクールライフノートの活用について話し合う・その1(玉置)

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 玉置ゼミでは、今後、スクールライフノートの活用実践を始めます。そのために、以下のように、5期生で活用について話し合いを始めました。その記録です。

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 こんにちは!五期生の北神です。今回は、5月27日のゼミでの学びについて書きます。今回のゼミでは、「スクールライフノート」をどのように活用していくかについて話し合いました。

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 「スクールライフノート」では、「心の天気」を朝と帰りに押すことができます。まず、私達玉置ゼミ五期生は、今まで通り一日一回押すことにするのか、それとも一日二回押すことにするのかを話し合いました。

・嫌なことがあった日も最後が良ければ晴れでいいと考えており、一日の一番最後に天気をつけるようにしてきた。だから一回で良い。
・朝に雨を押したとしても、その後に良いことがあり、気分が変わったと感じた時には天気を変えてきた。二回の方が後から見てもその変化が分かりやすい。
・二回にすると、やらなければならないという思いが強くなり、本来の趣旨とズレてしまうのではないか。天気が変わったと感じた人だけが変えれば良い。
・心の天気は気軽に押すことができる所が良い所。時間は決めずに、変わったと思う時に押せば良いのではないか。

 上記のように、今までの「心の天気」の体験をもとにした意見がたくさん出てきました。自分にはない視点がたくさんあり、なるほどなと思う意見ばかりでした。最終的に、全員が一日一回は押し、天気が変わった人は二回押すことになりました。

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 また、「スクールライフノート」には「学びの天気」という機能も加わりました。時間割に合わせて、授業ごとに天気を押すことができます。私達玉置ゼミ五期生はゼミ後に行うことを決めました。そして、「心の天気」は非公開(教師のみ見ることができる)になっていることを踏まえ、「学びの天気」はどうするのかについて話し合いました。

・非公開の方が、素直な気持ちを表すことができるのではないか。「全然分からなかった」ということを全員に公開することには勇気がいる。
・まずは非公開にし、教師が他の子にも見せて良いと判断した場合に公開にする。
・子どもが公開か非公開を選択する。先生だけに伝えたい内容の時には非公開にしたい。

 私達のグループではこのような意見が出ましたが、こちらは全体の最終的な結論をまだ出していません。この時には、公開に対して肯定的な意見はあまりありませんでしたが、栗木先生のお話をお聞きした上で「学び合い」の視点から考えると、公開した方が子ども達同士で支え合うことができるのではないかと思い始めました。他のゼミ生の意見を聞いて更に学びを深めたいと思います。(北神)

玉置ゼミ生「心の天気」1ヶ月半の感想

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 玉置ゼミでは、EDUCOMとの共同研究をしています。その一つが「心の天気」の実践です。

 以下の資料は、2月中旬から3月まで、自分自身で「心の天気」を入力しつづけての感想です。お読みいただくと、学級経営に確かに生かせるものだと確信していただけると思います。

 <資料> 「心の天気」に取り組んだ1ヶ月半の感想

 長文ですが、ぜひお読みください。ぜひとも我が学校で、学級で活用したいと思っていただけると思います。(玉置)。

この事態における学校でのICT活用四方山話 Topic3<神戸>

緊急事態宣言が関西3府県でも解除され、段階的緩和がさらに進んでいくことでしょう。緩和されつつも、「3密」を避ける手立てが講じられ、今までとは違った「新たな日常」の様子が、多数報道されています。学校も、緩和されたからといって、以前と同じように授業等を進めていくことはできないでしょう。緊急事態宣言が解除され、子どもたちが登校し始めたときが、新たな取組のスタートになるのではないでしょうか。
 学校が、「3密」を避けるための一つの方法として、分散登校があります。分散登校で、登校できない子どもたちのためには、学校から配付されるプリント教材や、動画教材が考えられますが、ここでは、テレビ会議システムについて考えてみたいと思います。
 テレビ会議システムを使って、どんな形の分散登校ができるかは、Topic2で紹介させていただきました。今回は、テレビ会議システムそのものについて、先生方とのおしゃべりから耳にした四方山話を書いてみようと思います。

◆ 教室で行う授業と、オンラインで行う授業との併用が、これからの「学校の新たな日常」となるかもしれません。そうなると、各自治体・学校は、オンライン授業を行うためのシステムを選択しなければなりません。教育専用のテレビ会議システムは、あまり聞いたことがありません。企業がテレワークで使っているシステムを、教育でも活用しようとしているところが多いのではないでしょうか。ところが、授業と会議とでは、どうしても違いがあります。
 オンライン授業では、授業に参加している子どもの雰囲気や表情を把握することがやや困難です。特に、小学校や中学校の授業では、子どもたちの表情や反応で、授業を変化させていくことが多くあります。そうなると、少なくとも参加している子どもたちの表情が見られることが、大切なポイントとなってくると考えられます。分散登校を行う場合、40人学級を半分に分けて登校させる学校では、20名程度の顔が見られるシステムがあるといいと思います。また、学級単位や学年単位で分散登校を行う学校となると、36〜40名程度の顔が見られるシステムが必要になると思われます。
 あるテレビ番組で、大学教授が「オンライン講義中、多くの学生は、ビデオを停止させています。だから、真っ黒な画面に向かって一生懸命話しかけているのです。」と仰ってました。と言うことは、多くの参加者の顔が見られなくても、特に問題はないということです。せいぜい、発言者(講演者)の表情が見られれば十分と言うことになりますね。
 どんな授業を計画しているか、どんな学年(年代)のオンライン授業かを考えてシステムを選ぶことと、子どもたちとの約束事を決めていくことがとても大切になってきます。

◆こんなテレビ会議システム?
 テレビ会議システムは、動画配信と違って、リアルタイム双方向の授業が可能になっていくのではないでしょうか。新学習指導要領の趣旨から考えても、一方通行の一斉型授業にならないような工夫は、これからの授業づくりの重要なポイントとなっていきます。
 そのような点を考慮し、次のようなことができるテレビ会議システムがあると、少しは教室で行う授業に近づけると思いませんか。
 1) 参加者全員の表情が見られる。
 2) 参加者全員の作業内容が見られる。(PC画面やノートなど)
 3) グループでの話し合いができる。(話し合い、資料等の共有が可能)
   教師は、すべてのグループの様子がリアルタイムに一覧できる。

今、思いつくことはこの程度になりますが、実践を重ねていくことで、さらにいろいろ出てくることと思います。

 今後は、教室の授業とオンラインの授業の併用が円滑に行われ、どんなときにも、子どもたちの学びが途切れることなく保障されるよう、1人1台のPC導入と、それを活かせるシステムの導入が課題となっていくことと思われます。

保護者の声に耳を傾ける姿勢を見せましょう(大西)

新型コロナウイルによる休校で、学校と保護者の連絡手段としてホームページが大きな役割を果たしました。子どもの姿で伝えよう(大西)でも述べたように、学校の再開後もその重要性はますます高まります。保護者はニュースなどで先進的な学校の安全対策や授業への取り組みなどが紹介されると、自分の子どもの学校はどうだろうとホームページを見ることと思います。その時、安全対策などの情報や子どもたちの様子がきちんと公開されていれば安心できます。逆に、更新が止まっているようだと不安を抱かせてしまいます。たとえ情報が公開されていても、紹介されていた取り組みと比べて見劣りすると、なぜ同じようにできないのかと疑問を持たれるかもしれません。地域や学校ごとに置かれている状況は異なるので同様にはできないことも多いのですが、保護者はそのことを理解できていないので、どうしても疑問や不満に思うのです。それでも、直接学校に電話して質問する方はまれです。学校が大変な時期であることはわかっているからです。自分の気持ちを吐き出せずにもやもやした気持ちを抱える保護者も一定数いることになります。学校も、保護者から質問をいただければきちんと説明できるのに、保護者の不安や不満を解消する機会を失くしています。

この問題を解消するには、保護者の疑問や不安、不満を学校の方から聞く姿勢を見せることが大切です。すぐに思い浮かぶのはアンケートですが、紙のアンケートでは保護者も学校も負担が大きく、回収率を上げることも難しいです。また、学校再開後はどうしても想定外のことがおきたり、不備があったりします。その改善には保護者から素早く情報をもらうことが必要です。ホームページや双方向の連絡システムのアンケート機能を活用することが有効です。例えば、子どもの様子や不安を選択肢で回答してもらうと同時に自由記述欄を設け、心配事、疑問何でもよいので記述してもらうのです。学校が一人ひとりの子どもの様子を気にかけている、保護者の疑問や不安を聞こうとしてくれていると感じるだけで不安は和らぎます。
ここで注意しなければいけないのは、アンケートの後どれだけ素早くレスポンスするかです。この点でもネットを活用したアンケートシステムは有効です。回答の集計やグラフ化は一瞬でできます。また、双方向のシステムでは確実に保護者に届きますし、既読かどうかも確認できるので、アンケートの期限を短くしてすぐに集計に入れます。アンケートの結果が忘れたころに公表されるといったことはありません。
もう一つ注意すべきは、集計結果を公表するだけでなく、簡単でよいので必ずその結果に対して学校の考えを伝えることです。保護者からの回答を学校ではどのように受け止めているのか、特にネガティブな回答に対しては、具体的にそうなっている理由や対応を伝えることが必要です。たとえ実現が難しい要望であっても、その裏にある保護者の思いに寄り添い、難しい理由をてていねいに説明して理解を得ようとすることが大切です。要望が通らなくても、学校が真摯に受け止めてくれていると感じれば、学校は聞く耳を持っていると納得してくれます。不安や不満を減らすと同時に学校のへの信頼を増すことにつながっていくのです。

学校再開後は、保護者からの信頼が学校経営にとって今まで以上に大切になります。そのためには、学校が聞く耳を持っていると保護者に感じてもらえることが何より大切です。忙しく余裕のない時だからこそ、積極的に聞こうとする姿勢が求められます。ネットを活用したアンケートシステムを上手に使って、保護者の信頼を得てほしいと思います。

(株)EDUCOMでは、アンケート機能付きのホームページ作成ソフト「スクールWebアシスト」と、学校と保護者を結ぶツール「C4th Home & School」を現在無償提供中です。是非この機会をご活用ください。
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子どもの姿で伝えよう(大西)

新型コロナウイルスによる休校からの学校再開が一部の地域を皮切りに進み始めています。とはいえ、新型コロナウイルスの脅威が完全に去ったわけではありません。学校では子どもたちの安全を確保するために多くの対策をとることが求められます。地域や学校の状況によって異なりますが、机や昇降口の消毒といったことも先生方の負担となっているところもあります。除菌シートを求め、先生方がスーパーマーケットを手分けして探しているといった話も聞きます。学校の再開は先生方に大きな負担をかけることになります。それでも先生方は嫌な顔をせずに子どもたちの安心安全のために全力を尽くされるのだと思います。頭が下がる思いです。

子どもたちの安全のために、座席の配置や給食の配膳方法など新しいルールや方法が考えられ実施されることと思います。先生方は子どもたちにはそのルールの意味や大切さを毎日の生活の中できちんと伝え、徹底されると思いますが、ここで忘れないでほしいのは保護者の中には学校再開を不安に思っている方もいるということです。そういう保護者のためにも学校がどのような安全対策をするのかを正しく伝えることが大切です。伝えるということは単に対策を書いた紙を配ればいいのではありません。保護者が不安なくお子さんを学校に送り出していただけて初めて伝わったということです。

学校の安全対策は多岐にわたります。その一つひとつをていねいに説明すると膨大な量になります。文部科学省や教育委員会からの通知をそのまま載せて、これに沿って対応しますといったものは論外にしても、せいぜい、代表的な対策を例にして、「三密をさけて」「しゃべる量をへらす」といったキーワードを使って大まかな方針、方向性を伝えるにとどまらざるを得ません。十分とはいえないまでもこういった文書を配布することは重要です。紙で配布するに加えてホームページで文書を公開することもよい方法ですが、それでもすべての保護者が目にするとは限りません。伝えたい人に確実に伝わる方法が必要となります。保護者全員、特定の学年学級の保護者を選択して、必要な情報をスマホのアプリを通じて届けることや、アンケートをとることができるツールを利用している学校もあります。緊急配信用のメールを利用してもよいでしょう。まずは、保護者の手元に確実に情報を届けることが必要です。

しかし、先ほども述べたように、文書では学校側が行っている対策を伝えきるのは限界があります。そこで威力を発揮するのが、ホームページの記事です。授業の様子の写真と共に、「ソーシャルディスタンスを確保するためにこのような配置をしていますが、子どもたちは元気に頑張っています」「話すことを削減するために、サインを出して自分の考えを伝え合っています」と説明を付け加えるのです。休み時間の様子や給食の様子、学校がとっている安全対策を子どもたちの姿と共に説明することで、わかりやすく納得のいくものになるはずです。合わせて、保護者の手元に記事の更新やリンクを伝えることで、確実に学校の安全対策が伝わり、理解を得ることができると思います。

子どもが登校するようになれば、課題の指示や配布の必要性がなくなるので、ホームページでの発信は少し休んでもよいと考える学校もあるかもしれませんが、それは間違いです。保護者に安心してもらい、学校の信頼をえるためにも今まで以上にホームページでの発信を心がけてください。

(株)EDUCOMでは、アンケート機能付きのホームページ作成ソフト「スクールWebアシスト」と、学校と保護者を結ぶツール「C4th Home & School」を現在無償提供中です。是非この機会をご活用ください。
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「心の天気」で心の変化を「見える化」(玉置)

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 小学館月刊誌「総合教育技術2020年6月号」では、「個別最適化」で子どもを伸ばす!という特集が組まれました。

 その中で、「『心の天気』で心の変化を『見える化』し、サインを見逃さず個に応じた生徒指導を」と題した私へのインタビュー記事が掲載されました。

 以下にそのごく一部を掲載します。全文はここをクリックしていただくと読んでいただけます。ぜひご一読ください。

声がけのきっかけになる

 個別最適化学習を進めるには、まずは個を知らなくては始まらないと思うのです。いくら個別最適化で子どもの習熟度に合わせた問題に取り組ませても、その子の気持ちが学習に向いていなければ、効果は期待できないでしょう。やはり、一人一人の心の状態を捉え、必要に応じて心理的な支援や生徒指導をしながら、学習の助言をしていく必要があります。

 そんなときに役立つのが「心の天気」システムです。操作はとても簡単で、子どもたちはタブレットで、「晴れ」「曇り」「雨」「雷」の4つの天気の中から、そのときの気持ちに最も近いマークを選んでタッチする、たったこれだけです。非常にシンプルですが、これにより子どもたち一人一人の気持ちが「見える化」され、毎日続けることで教員は子どもの心の変化を見取ることができます。子どもからのサインに気づきやすくなり、声掛けのきっかけになるのです。つまり、「心の天気」システムはICTを使った子どもとのコミュニケーション・ツールのひとつだと考えていただくといいと思います。

 「心の天気」は株式会社EDUCOM(エデュコム)が開発したシステムですが、実は私が出したアイディアが基になっています。(以下は、ここをクリックしてお読みください)

この事態における学び合い 先生の挑戦と生徒の思い その後<栗木>

以前、一公立中学校の社会科の挑戦を紹介しました。この先生の挑戦が、全教員に広がり、学校を元気にしたということも。その学校の「今」を教えてもらいました。

1 先生達の学び合いが始まった
5月11日に課題を生徒に配布し、休校中でも新学年の学習が始まりました。プリントを配って宿題にするだけではなく、ほぼすべての教科、すべての先生が動画を作って生徒に語りかけたり、生徒から送られてきたメールをつないでまた生徒に投げかけたりしています。返ってくるメールも日々増加し、今では全校生徒約4分の1数が毎日送られてくるようになりました。もちろんメールには「ありがとう」の一言を添えて各先生が返事を書いています。また、全職員がそれを読むこともできます。職員室のあちらこちらから「この考えいいね。」「〇〇君頑張っているね。」という言葉が聞こえます。最初は動画作りに躊躇していた先生達も挑戦するようになってきました。PowerPointに音声を入れて作る先生、生の声で臨場感たっぷりに語る先生、自宅にあるソフトを用いて工夫している先生・・とその方法も様々です。先生方の隠れた特技や個性が発揮されました。お互いに見合って、「これ、どうやって作ったの?やってみるから教えて。」「こういうのもいいね。」という先生方の「学び合い」が始まりました。

2 生徒の学び方が成長した
 動画とメールでの学び合いを継続する中で、気づいたことがあります。段々と生徒の学び方が成長しているのです。メールで「○○がわからない」だけではなく、「僕は〇〇と考えたけれど、その考え方であっていますか?」と質問してくる生徒が増えました。また、仲間の疑問に応えるメールでは、「僕もこれが気になって調べてみたら△△とあって、そこから××と考えました。」とありました。家には手元にICTがあります。それを用いて調べた上で考えを伝えてくるのです。まるで、これからの学びを象徴しているかのようです。

3 今後に活きる
学校が始まっても、またいつ休校になるかわかりません。その時にこの動画が役立ちます。音楽の先生は、自分でリコーダーを吹いている様子を撮影し、楽譜と合体させて運指が見やすい動画を作成しました。体育の先生は、学校独自のストレッチ体操を実演し、ポイントを紹介して動画にしました。それらは今後一人一台PC時代になったとき、配信して家庭でも学校でも練習を促すことができます。いつも会っている先生が実演しているところがいいのです。自分でやってみるとうまくできないことを先生はやれてしまう、そこが「すごいな」って思ってもらえます。逆にいつもはキリッとしている先生が動画の中で「あ、まちがえた。」とかつぶやいているのを見れば、親近感が湧きます。そういう人間性が垣間見えることも今後に必ず活きます。

5月15日、文部科学省は、「新型コロナウィルス感染症の影響を踏まえた学校教育活動等の実施における『学びの保障』の方向性等について」を通知しました。そこには、「新型コロナウィルス感染症とともに生きていかなければならないという認識に立ちつつ、子どもたちの健やかな学びを保障することとの両立を図っていくことが重要です。」とあります。学校が再開されても、今までと同じような教育活動をするわけではありません。先生も生徒も試行錯誤でしょう。でも、この学校のように手探りしながら前に進めば、必ず得るものや生まれてくるものがあります。その学校独自の「新しい学び」を創っていくのです。なんだかワクワクしませんか?先生と生徒の新たな挑戦と工夫の時がもうすぐやってきます。

この事態における学校でのICT活用四方山話 Topic2<神戸>


◆ 2教室の間の壁を取り除く
2つの教室の間にある壁を取り除けば、2教室分の広さの教室で授業が行えます。さぁ、壁を取り壊そう!と言っても無理です。そこで、ICTの活用を考えます。

1) タブレットのカメラとマイクを使い、大型提示装置(プロジェクタ)で一方の教室の様子を隣の教室へ投映するという、簡易のテレビ会議のような仕組みを作るのです。先生は、授業を進めながら、2教室の様子を観察することもできますし、簡単に行き来することもできます。ICTが、2教室の間の壁を取り除く役割をするのです。(WiFi環境があるとさらによい)
 タブレットは、できるだけ子どもの学習用に使いたいというときは、ビデオカメラを使うでしょうが、そんなに台数もありません。そんなときに活躍するのが実物投影機です。実物投影機のカメラは、普段下を向いていますが、このカメラかなり自由に動くので、子どもたちや先生に向けさえすれば立派なビデオカメラの代用品となります。
 2つの学級をつなぐソフトは、既存の「学習活動ソフト」。本来は、自分の教室のタブレットの画像を自分の教室で投映するのですが、それを隣の教室に投映するようにするだけの簡単な方法です。
 「学習活動ソフト」で投映できる環境のない教室は、タブレット2台を使って、windows10のプロジェクション機能で、隣の教室の様子を投映するという方法も考えられます。
 これで、2つの教室の間にある壁は取り除かれます。
 1教室の子どもを2教室に分けるのですから、「3密」を避けることも可能になるでしょう。

2) 同様に、互いの学級をテレビ会議システムでつないで壁を取り除くことも可能でしょう。2つに分けた学級それぞれに、1台のPCがあれば最低限できます。家庭で行っていた、テレビ会議システムによる授業と違って、先生はいつでも2教室を行き来でき、分からない子どもに寄り添うこともできます。ここでの経験は、今後も起こり得る緊急事態時に、今回のような長期間、授業が行われないということがなく、即座に対応していくことができるようになると期待できるのではないでしょうか。今が、「学校生活の新たな日常」を築くチャンスかもしれません。(テレビ会議システムが使える環境が必須)

3) 教室にゆとりがない学校は、なかなか難しいと思いますが、分散登校させるという前提で考えると、2)の方法の一方の学級を家庭で行うという方法もあるのではないでしょうか。分散登校で、半分の子どもたちが家庭学習するのもいいですが、テレビ会議システムを使って、一緒に授業に参加すればいいと思いませんか。家庭で授業に参加した子どもへは、少なからずフォローが必要でしょう。次時登校したときが、フォローのチャンスになると思います。(各家庭、テレビ会議システム参加のための端末と環境があるか、または貸し出せることが必須)

どうでしょうか、そんなことできるわけないと言われるかもしれません。大切なことは、今までの常識にとらわれず、今できることを考え、実践していくことではないでしょうか。
 しばらくは、コロナウイルスと共存しなければならない日が続くと思います。
 子どもが安心して登校できることを一番に考え、「学びを保障」する実践を行っていく必要があると思います。

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この事態における学校でのICT活用四方山話 Topic1<神戸>

 39の県で、国の緊急事態宣言が解除されました。徐々に、学校生活が日常に近づこうとしています。「学校生活の日常」といっても、昨年度2月までの日常と今年度6月からの日常は大きく違うはずです。どんな、「学校生活の新たな日常」が築き上げられていくのでしょうか。

 授業再開に伴うICT活用の話を、「Topic」として記録したいと思います。

 子どもが登校し、授業が始まります。分散登校一つとっても、子どもたちを守るためにいろいろな手立てを講じる必要があり、簡単に行えるものではありません。登校方法も、小学1年生と中学3年生では違ってくるでしょう。
小学1年生は、まだ、一度しか登校していない学校もあると思います。分団で登校といっても、「3密」を避けることを考えると難しい課題があると思いませんか。
 一つずつ検討し、多くの人の支援を受けながら解決していくことになるのではないでしょうか。
 
 さて、どんなことを行ったらいいのでしょうか?

 授業については、1学級を2つのグループに分け、1日置きに登校させたり、午前と午後に分けて登校させたりする方法をよく耳にします。確かに、「3密」を避けることからすると、必要なことになるでしょう。しかし、これを続けていくことは難しいでしょう。そこで、授業再開から1〜2週間後には、通常(いつ頃の通常なのか?)登校にしていくと発表している自治体が多くあります。大丈夫なのでしょうか?そんなに早く、ワクチンや治療薬ができるのでしょうか?「3密」を避ける必要がなくなるのでしょうか?

 文部科学省は、「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた学校教育活動等の実施における「学びの保障」の方向性等について」(令和2年5月15日付け2文科初第265号通知)で示したとおり、『各設置者においては、「新型コロナウイルス感染症対策としての学校の臨時休業に係る学校運営上の工夫について」(令和2年5月1日付け2文科初第222 号初等中等教育局長通知)で示したとおり、感染防止対策を徹底したうえで、段階的に教育活動を開始し、学校における教育活動を充実していくことが必要』と記しています。
 現状を考えると、分散登校や「3密」を避ける取組は、重要な要素になっていると思われます。

 「3密」の「密閉」については、今の時季ならば、対策がとりやすいと思います。窓を開けて風通しをよくすればいいのですから。しかし、「密集」と「密接」は、あの狭い教室に40名弱の子どもが入るのですから、何らかの対策をとる必要があるのではないでしょうか。

 教室にゆとりのある学校は、1学級を2つに分け、T.T.で行っていくことが可能になります。また、広い特別教室を一つの学級とすることも可能でしょう。しかし、そんな教室ばかりはありませんし、T.T.ばかりが可能にもなりません。
 そこで、2つに分散した教室をつなぎ、授業を行っていくという方法を考えてみてはどうでしょうか。当然そこには、ICT機器の活用が必須になってくるでしょう。(こんなことを考えてみませんか)

 Topic2へ続く

この事態における学び合い オンライン模擬授業その4 <栗木>

オンライン模擬授業の最後です。授業後にフェローによる「授業深堀」をしていただきました。

テーマ1 オンラインで学び合いはできるか?
・オンラインだからというのではなく、人が人と繋げる繋がる環境が必要だ。生徒は人の意見を聞いて変化している。それは表情や発言からわかる。教師は無意識のうちに学びが起きる計算をしている。
・つなぐことで新しい学びができてくる。一方でわからないっていう言葉が出てこなかった。これがオンラインの苦しみ。
・発問で学びが引き出せる。聞いてもらえた?言えた?聞けた?聞くと話すの双方向指示が必要。話すではなく聞くを捕らえないとオンラインでは疲弊する。また、意図的使命に陥る危険性がある。

テーマ2 オンラインで学びを生みだす心得は?
・グループに入る時の投げかけ。聞けたか言えたか、二つの視点をなげかける。
・意図的使命ばかりではなく、子供同士の、この人の話が聞きたいという場を作る。
・質問や反対意見、もう少し聞きたいというのが出てくるような仕掛けをしていく。そしてそれが言えるような保障をしていく。
・表情を見ての指名は通常よりしにくい。つぶやきとか、「でもさあ」とか子供同士でやっていくのが通常。それが出来ない苦しさがある。
・分からなないや誰かが言ったことへのわからなさが出てこない。気持ちがわからないと学び合いにならない。
・どこから思ったの?と根拠で繋いでいた。それが大事。
・価値付けをする。オンラインであっても体全体で認める。
・反応やつぶやき、誰が言ったかがよく分からない。教室だとなんとなく感じられるちょっと待った機能とかあるといいかな?
・どうつなぐのか、つなぎ言葉が特にいる。言葉は武器になる。
・教師がつなぎ言葉で、つながったことへの価値づけをする。

授業者自身のふり返り
最後に、オンライン授業をするにあたってと望むことを記します。
一つ目は、教材の持つ力が大きいということです。教室でもオンラインでも基本的に授業作りは一緒です。学び合いの楽しさを知っている子どもたちは、自然につながって探究していきます。ただし、そこには子どもが知りたい考えたいという教材が必要です。そしてフェローの指摘のような工夫がいります。

二つ目は、教室でも同じことですが、よりいっそう言葉を選び正しく伝える必要性があると授業記録を見て感じました。教室なら何となく雰囲気で伝わります。それがないのですから、画面上の一人一人に語り掛けるように話すことが大切でしょう。

三つ目に、学び合いは形ではなく一人も落とさないという理念です。オンラインでは教師主導型に陥りやすいと感じます。加えて通常教室なら近くの仲間にわからないが言える子どもに育っていても、オンラインではできません。わからなさをどうにかして拾う手立てを考え、それをスタートにした学びを展開するという「ぶれない信念」をもちたいものです。「わからない、困った」を全体に広げ、考える視点を提示し、そして子どもに返す、その繰り返しでしょうか。幸いオンライン授業は毎時間記録できます。繰り返し見ることで授業の中での留意点が見つかるのではないでしょうか。ふり返りも大いに活用したいところです。今回、授業記録とふり返りを見て、何人かの生徒を置いてきてしまっていることに気づきます。ふり返りで曇りマークにした生徒のうち2人は授業で発言できていません。見落としです。目の前に生徒がいれば雰囲気や表情で感じることもできます。記録されたものを活用することで教師の「勘」を養いたいものです。

四つ目は、「学びの作法」です。模擬授業でも前日に「学び方」「聴き方」「ふり返り方」等を研修しました。生徒役は見事にそれを身に付けて参加しました。しかし、小中学生は一回でできるものではありません。まず、聴くことが難しいでしょう。通常の教室でも4月当初は「学びの種まき」から始めます。その一つとして、子どもたちが自分たちで大切にしたい作法オンラインバージョン(わからないことはわからないと言う・グループでは話していない子に声をかける・一人で考えたいときはちょっと待ってサインを出す等)を考えるとよいですね。

五つ目は一番大切、且つなくてはならないグループのことです。本来ならば安心を生むためにも教室の中では人と人との間隔をできるだけ狭くします。しかし、この事態はその逆です。よく行われる「コの字隊形」も大人数だと無理だし、少人数でもかなり広いコの字になります。全体で意見を交わし合うのは聞き取りにくくなります。そこで絶対に必要なのが、グループによる探究です。それなくして学びを起こすのは至難の業です。今回の模擬授業でも、グループ内で生じたことを多くの生徒が伝えていました。彼らはグループとグループをつないで、そこに化学反応が起きて学びが成立しました。近づくことなくグループという少人数探究の場をどのようにして生み出すのか。そこには、一人一台PCでのつながりが必要です。

学びはつながることで起こる、どんな形であれそれが一番だと感じました。

この事態における学び合い オンライン模擬授業その3 <栗木>

 その2では、授業後半の様子を授業記録で記しました。学びやその深まりは個人によって異なります。それを知る手立てがふり返りです。ふり返りを記録することで自分自身の変化、学びの足跡、他からの働きかけ等を再認識できます。また、それを読むことで、授業者は授業をふり返ったり、学びの成立や不成立等を確認できたりして
授業改善に生かせます。ふり返りの一部を紹介します。

<学びの天気 晴れの人のふり返り>
・eさんやfさんの話を聞いて、また別の命の見方もあると知った。命に関する考え方を自身でも捉えなおすことができた。
・eさんの”桜目線”じゃないかという話から、新たな歌の見方ができたように感じた。
・こんなにも様々な考えが生まれることは個人的には楽しかったし、意見交換をしていくことで考え方の幅を広げることが大切だと感じました。
・最終的に、桜が広く人間界を客観的にみているような場面が浮かびました。mさんの、「人間も肩の力抜いていけよ」みたいな考え方も素敵だと感じました。
・「桜目線ではないか」という意見が斬新で、目から鱗でした。歌を詠むときの頭に巡るイメージが、桜を見上げる視点から、人を見下ろす桜の視点に一気に変わって大変興味深かったです。
・aさんが「わが」は人ではなく桜の根本の生き物なのかもと考えたり、tさんの聞き手によって捉え方がかなり変わるのではという意見だったり、cさんの「死期が近い人が詠んだのかも」という考えに納得したり、他の人の意見を聞き、その意見に対する疑問を訊き、それを重ねたことで、はじめは自分では浮かばなかった映像という新しいものが生まれたことを実感し、とてもうれしく思った。
・自分には無かった見方がたくさん出てきて、それらを自分の中に落とし込むことが楽しかったです。
・はじめは作者の状況を想像することから句の意図を考えることを考えていたけれど、視点の転換の話があってから、話が広がりました。みんなの意見を聞いていくうちに自分の中で、解釈が固まっていった。
・あらかじめ「わからない」ことを聴くことを意識して取り組めたので、どうしてそういう考えが生まれたのかを聞いて話を広げることができた気がします。

<学びの天気 曇りの人のふり返り>
・もともと国語が苦手なので、話し合いでもほかの人の意見を聞いてなるほどと思ったり、発表で意外な見方が知れたりととても頭を使う授業でした。
・自分の脳みそのスカスカ感を感じ、地味にショックを受けている。
・この詩は何を伝えたかったのだろう、作者は何をイメージして作成したのだろうと考えるとモヤモヤが残る。

今回、ふり返りは「スクールライフノート」を使って記入しました。自分の学びを「晴れ」「曇り」「雨」「雷」で示すところから始まります。19名中5名が曇りで14名が晴れでした。スクールライフノートを用いれば互いのふり返りを読み合うこともできます。「〇〇さんの△△という考えで自分の考えが□□から××に変わった。」という記入が多く見られました。個人名が出てくるのは互いをリスペクトし合えているからであり、また、他の考えを謙虚に受け止めて自分の学びを深めているからでもあります。大人であっても認めてもらえたら嬉しいもの。子どもたちならその喜びは、自分への自信にもなるし、学びも楽しくなるでしょう。何よりもその教室での居場所が実感できます。そして、仲間の考えをもっともっと知りたくなって聴き上手、学び上手を育てます。また、この授業で何を考え、どう変化しどんなことが身についたのかを自分の言葉で蓄積していき、それを読み返すことで学びが定着します。通常の教室でもふり返りは欠かせませんが、今この事態だからこそ一層、オンライン上でのつながりを生む手だてになると思います。授業者の立場で見れば、ふり返りを授業改善に生かすこともできます。

その4に続きます。


この事態における学び合い オンライン模擬授業その2 <栗木>

模擬授業その1では、最初の課題(教材である短歌)提示と、音読、各自書き込み、1回目のグループで気づきや気になることの共有、その後全体で共有までを記しました。)授業記録の続きです。

T:みんなの話聞いてると、死期を悟っている意見もあったし、桜目線っていうのもあったんだけど、共通して「いのち」、ひらがなの「いのち」と漢字の「生命」ってあるんだけど、そこに心惹かれているのかなって感じたのね。
S:半分以上(頷き)
T:「いのち(生命)」っていうのを感じながら、もう1回この歌を味わってみるよ。今度はわかることよりも感じること、皆さんがこの歌を読んでどう感じるのか。命っていう言葉に注目しながら、もう1回この歌読んでみてください。
S:銘々読みと指名読み
T:どんなことを感じるか。グループで聞いてみて。自分の感覚を大切にね。
S:(2回目のグループ中)
T:どんなこと感じたか聴かせて。
i:考えれば考えるほどわからなくなってきていたんですけど、「いのちいっぱいに」っていうのが、「生命かけて」咲いてたんだよって、散っている様子を見て、あの時命いっぱいに咲いていたんだなーって思った。
k:「いのちいっぱいに」っていうのが、桜が満開に咲くっていうイメージが私にはあって、命ひとつひとつがいっぱいに咲いて、桜が人間界を見て、生命かけて見てるんだなあみたいな。
l:私は「命」っていうところに焦点を当てて考えた時に、生命かけてお花を咲かせているんだなと、ちょっと見方が変わったなーっていう風に感じました。
m:桜と「桜ばな」って見た時に、桜を思い浮かべた時に花を思い浮かべるのになんでわざわざ桜とはなを二つ重ねるんだろうなって思ったというのがまず先にあったんですけど、全体が桜なのに花だけを桜って言われるのをちょっと嫌だなーって思っているのかなと思いました。それから、この「いのちいっぱいに」っていうちょっと無邪気な感じと「生命をかけて」っていうちょっとシリアスな感じに疑問を持ったんですけど、nさんの「生命をかけてわが眺めたりは、なんか人間ってちょっとシリアスに考えすぎじゃない?みたいに(桜が)思ってるんじゃないのかな」っていう話を聞いて、そこから、なんかもうちょっと肩の力を抜いてもいいんだよって桜が教えてくれるのかなっていう気持ちになりました。
S:(反応)(参ったの顔)
n:最初のいのちはひらがなで、桜は普通にしてれば毎年繰り返して咲くけど二つ目の生命は人間だとしたら人間は1回きりになるので、なんかすごい重さを感じる。
T:可愛い、健気、こっちは重さを感じる。もっともっと聞きたいけど最後にもう1回自分でこの歌を自分の味わいで読んでみてください。
(授業記録はここまで)

・銘々短歌を読み味わう。そして、振り返りをする。
・ふり返りはスクールライフノートに書くよう指示。学びの天気をつけるのと自分の変化を記した。

 Iさんkさんは上の句の「いのちいっぱいに」でつながってともに、桜の満開な様子を想像し、それをlさんが下の句の「生命をかけて」につなげ、mさんnさんは二つの「いのち」「生命」を対比させました。もちろん本人たちがつなげて発言しようとしているか否かは不明です。その意識はないのかもしれません。でもこうしてみるとつながっているのです。大人の発言なので、実際は一人一人がかなり長く話しています。迷いながら話すので時間もかかります。生徒役は聴く力をかなりもっています。後半の発言で特徴的なのは、「〜だなあ」という表現が多いことです。情景を頭に浮かべ、感じているのではないでしょうか。

その3に続きます。

「授業アドバイスツール」で手軽にはじめる授業改善(玉置)

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 授業と学び研究所とEDUCOMでは、数年前から「授業アドバイスツール」の開発をしてきました。

 タブレット等の携帯型端末を利用したこのツールは、授業シーンを振り返りながら授業検討を行う際や、指導や助言を行う際に、気軽に使用できるツールです。

 愛知県海部郡大治町では、2019 年春より、「授業アドバイスツール」を使用した授業検討や指導を実践していただきました。

 4 人の校長先生から、ツールの有用性や活用方法などをお伺い、「手軽にできる授業改善ツール」である実践ができましたので、具体的活用方法や効果などをリーフレットで発信しています。

 ぜひここをクリックして、詳細をお読みください。(玉置)

この事態における学び合い オンライン模擬授業その1 <栗木>

ZOOM機能を用いて、オンラインによる学び合い模擬授業の授業者役を体験させていただきました。ただし、生徒役は小中学生ではなく大人です。

ここのところ、オンライン飲み会なるものも流行し、テレビ番組でも普通にみかけるようになったオンライン会議。この1、2か月で急速に普及しました。学校が休校になり、一部地域の一部学校、あるいは学習塾等では「オンライン授業」が行われています。オンラインでどのような授業ができるのか、通常の教室で行われているような学び合いはできるのか、幾つかの課題に挑戦しました。
   
 ZOOMという機能の存在を知ったのは、授業日の約1週間前。生徒役の方々に出会った(あくまでも画面越しです)のも約5日前。ZOOMを使ったのは1日前。この短歌を用いた授業をするのは初めて。初めて尽くしの体験でした。どんな授業であったのかは、実際の授業記録を見ていただくことが一番です。一部省略しながら記します。

2020年4月8日 模擬授業 参加者19名(在宅) 授業者栗木
国語 短歌の模擬授業
「桜ばな いのちいっぱいに咲くからに 生命をかけてわが眺めたり」 岡本かの子
1 ホワイトボードに書いた歌を画面提示し、生徒にはノートに写す指示。写せたら各自で音読を繰り返す。続いて頭の中に映像を思い浮かべながら仲間の読みを聴く。ここまでは通常の授業通り。
2 「気になること気づくこと気に入ったこと」などをノートに書き込みを指示。当然だが手元が見えないので書けているかわからない。通常なら書けていない生徒や困っている生徒に声をかけるがそれができず顔の表情で判断するしかない。
3 ブレークアウトセッション(グループの人数指定やメンバー指定も可能)を用いてグループにする。気になったことがある人から声を出すように指示。グループの時に顔はとても自然。やはり少人数対話は必要。
4 全体で共有。考えが広がる。
(発言者 T:授業者 S:生徒役 小文字:個人名)
T:(全体に)戻ってきて。気になることを聞いてもらえた?自分から言えた?
S:(頷き)
T:気にあることのある人からどうぞ。
a:私たちのグループの中では、作者はもしかしたら死期を悟っているのではないかと。
S:(驚きの表情)
a:桜が一生懸命咲いているのを見て、自分も残された命を、命をかけて全うするっていう意見が出てきて。
T:その意見だしたbさんどこからそう思ったの?
b:命が二つ出ているので、二つの命を比較しているような感じかなと思ったんですけど、「生命をかけて」っていうところから死期を悟っているなって感じました。
T:(一番リアクションが大きかったc君指名)それ聞いてc君どう?
c:僕らの班ではそこまで深読みできなくって、なんで「いのち」ってひらがなと漢字(生命)で書いてあるんだろうっていうところから話していて、そこまで作者の状態とかなんでとか考えられなくって、本当にすごいなーって思いました
S(反応)
d:aさんは作者目線だって言っていたんですけど、私たちのグループでeさんは桜目線の話なんじゃないかとおっしゃっていて、すごくびっくりして。
S:すっげー。(誰が発生したかは不明)
T:ちょっと桜目線になってこの歌読んでみようか。
S:(銘々読み)
T:なんか生まれてきたことある?
f:桜の幹から桜を見ているというのにつながるのかなって。桜の幹が自分になっている花を見ている様子を歌っている。自分の前髪を見ているような感じ。
S:(みんなの顔が変わる。参ったという表情もあり)
T:誰かほーってなってるよね?それ聞いてどう?生まれてきたこと。
g:さっきのグループでhさんが言ってたんですけど、「いのちいっぱい」の方がちょっと軽めで、「生命をかけて」の方が結構一生懸命さがあって、その生命をかけてみている人間たちを、客観的に見ているみたいな、そんなイメージを感じました。

 一回目のグループの後の全体共有では、このような発言や反応が続きました。aさんはグループで聴いたbさんの考えを紹介し、それに触発されてcさんに感動が生まれ、一方でⅾさんがグループで聴いたeさんの違う新しい視点を皆に広げます。思いもよらなかった発想を謙虚に受け止めたfさんが自らの考えを深め、gさんは「見ている」という点で、前述のcさんの疑問点につなげます。それぞれの発言が羅列のようでいてつながっている、そんな様子です。

続きはその2で。

月刊誌PHPに「心の天気」掲載(玉置)

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 月刊誌「PHP 2020年6月号」の連載「学校の快談」で「心の天気で子どもたちの気持ちを知る」と題した拙稿を掲載されました。出版社に許可を得ましたので、以下にこの原稿を掲載します。

 ***「心の天気」で子どもたちの気持ちを知る***

 文部科学省は、現在、子どもたち一人一人にコンピュータを渡し、学校での学びをより豊かにする施策を進めようとしています。すでにこれが現実化されている学校があります。その学校での取組を紹介します。

 その学校では、私が発案した「心の天気」というシステムを使っていただいています。「心の天気」は、子どもが登校したときや一日を終えたときに、システムを立ち上げて、今の自分の気持ちを「晴・曇・雨・雷」のいずれかのマークで示すだけの単純なものです。学級担任は自分の学級の子どもの「心の天気」、学年主任は学年全体、校長は全校の子どもの「心の天気」を手元のコンピュータで見ることができるようになっています。

 たったこれだけのことなのですが、学校内に大きな変化が生まれてきています。子どもと先生の距離が、グッと縮まったのです。

 例えば、前日「晴」だった子どもが、突然「雷」になることがあります。担任は、その理由を聞きたくなります。「何かあったの?」とさり気なく聞いてみると、昨晩、家庭でスマホの使い方で厳しく怒られたとのこと。そして、こう言った子どもがいたそうです。「先生に言ったら、すっきりしたよ」と。ちょっとしたことですが、「心の天気」がコミュニケーションを生み出すきっかけになっているのです。

 実は、私のゼミ生も「心の天気」を毎日入力しています。この「心の天気」でゼミ生といつも結び付いているなという感覚を持つことができています。学級担任時代を思い出しています。   

 ある学生が「雷」マークだったので、聞いてみると、バイト先で重要な役目をもらったのに、うまく出来なかったことが「雷」の原因だったそうです。さっそくコメントを返して、その学生と会話を楽しみました。

 「心の天気」について、次のように書いたゼミ生がいます。
 「晴、晴、晴と連日、晴が続いていた私ですが、とうとう雷になりました。私は、雷はイライラしたときの気持ちやどうにも言葉にできない気持ちを表すものだと思っています。
 昨夜、雷になってしまいました。自分の情けなさや周りに対しての不満。自分で頑張っていると思っていた事を心ない言葉で否定されると、もう、何というか、言葉にできなくて。私の「心の天気」が雷になりました。
 このことで『心の天気』は、とても良い仕組みだと感じました。言葉にならない気持ちを吐き出すことができる小さな避難場所です。この避難場所があることがどれだけ救いになることか。言葉にできない黒く重い気持ちは、その人の心にずっと靄のように居続けます。その靄は自分一人の力では吐き出せません。そんな時にこの心の天気は大活躍すると感じています」
 
 今日もゼミ生たちの「心の天気」を気にしている私です。(玉置)

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