この事態における授業づくりと授業技術四方山話」(和田)子どもとの絆を深める学習規律 (小学校版)

三つの密(三密)についてのお話
(1)風通しのよくない「ムンムン」する建物やお部屋にいないようにする
(2)人が「ギュウギュウ」と、たくさんいる場所には行かない
(3)人とお話するときは、「ガヤガヤ」と近づいて話をしない
 これは、小学校1年生でもわかるように「三つの密」について知事がテレビで伝えた内容です。先生が朝の会で毎日お話をし、帰りの会ではそれが守れたかどうかを確認するそうです。高学年には優しすぎるという意見もありましたが、「ムンムン」「ギュウギュウ」「ガヤガヤ」という表現は子どもにはとても分かりやすく好評のようです。合言葉のように子どもの心に残るキーワードを取り入れたことがよかったのでしょう。
 つまり、三密を伝える側(教師)、受け取る側(子ども)の双方にとって簡単で覚えやすく合言葉のようになると周知徹底しやすくなるのです。まさに、学習規律の基本と言えるでしょう。
 今、学校が再開しても入学、進級したときと同じように学習規律を身に付けることからスタートしなくてはなりません。コロナの状況から三密に関することも含めて教師はたくさんの規律を子どもに徹底させなければいけない状況にいます。しかし、子どもは登校し、友達と再会できた喜びでいっぱいのはずです。禁止行動ばかりを話すスタートではなく、笑顔で学習規律が身に付くように工夫していきたいものです。その一例を書いてみます。
1 禁止行動より推進行動を示す
  「廊下を走らない」ではなく「静かに歩こう」
  「大きな声を出さない」ではなく「〜ぐらいの声で話そう」
  「〜してはいけません」と禁止するときは、どうしてもきつい口調になり注意している雰囲気になります。「〜しよう」と望ましい行動を促すときは温かな雰囲気が伝わります。人の名前を呼ぶ時に「○○」と呼び捨てにすると、どうしてもその後にネガティブな言葉が続くが、「○○さん」と呼んでから話し始めると落ち着いて話ができると先輩から教えてもらいました。特に生徒指導のときに役立った経験があります。挨拶も「○○さん、おはようございます」と名前がつくとより絆が深まります。
2 自分で振り返りをする
  「ルールを守れましたか? 守れた人は手を挙げてください」という教師の言葉をよく耳にします。手を挙げた人数が評価の基準となっています。守っていなくても挙手する子が出てきてしまったという経験はありませんか。授業も含め、学習規律の徹底にも子ども自身の振り返りを共有することをお勧めします。
T: 「ギユウギユウはどうでしたか」と発問をする
C1: よく守れた。手が届くようなところに人がいなかったよ。
C2: 手を洗う時にちょっとギュウギュウに近くなっちゃった。もっと離れて後ろで待てばよかった。
 他の子どもたちもC1やC2の意見を聞いて自分はギュウギュウを守れたと言っていいかどうかを判断し、明日からの行動を考えるようになります。
 近づきすぎると「ギュウギュウになっているよ。もう少し後ろで待ってね」と子ども同士が声かけ合うようになれば、規律がかなり徹底されてきたと言えるでしょう。
 教師は、子ども同士の温かくなるような声かけ場面をみつけ、その事例を広めることに力を注ぎましょう。「先生、そんなことまで見ていてくれたんだ。嬉しいな」と子どもが思うような場面紹介ができると信頼が深まります。

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