開発PM・PMO座談会  
   

全国約500自治体・約10,000の小中学校で使い続けられている、EDUCOMの統合型校務支援システム「C4th」。
2024年4月、従来の校務支援システムから学校教育全体を支援する次世代の学校システムへと機能を拡張させた「C4th US(シーフォースアス)」を、
2026年度にリリースすることをEDUCOMは発表しました。
学校に寄り添い、一体となり、教育の明日を共創してゆくことをめざす「C4th US」。
その開発を進めるPM(プロジェクトマネージャー)・PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)3名が、
「C4th US」開発プロジェクトについて、クロストークを展開します。

 
   

プロフィール

 
 

 

自治体・学校ネットワークの設計・構築・保守業務に従事しながら、校務支援システム初期開発時はSEとして開発に参画。 関西支社の立ち上げや政令指定都市への校務支援システムの導入を経験し、拡大期にはサポート部門の責任者として全国展開を牽引。 現在は、企画部門の立ち上げを経て、製品戦略本部の本部長として組織力強化を推進中。 「C4th US」開発プロジェクトではPMを担当。

 

 

日々学校を訪問しながら、校務支援システムの初期開発に携わる。2006年からは、現在の校務支援システム開発の責任者として従事。また、教職員が利用する校務支援システムのみならず、児童生徒が利用する製品や教育委員会で利用される製品等、システム開発部部長として教育現場の支援を行うあらゆる製品開発に従事。 「C4th US」開発プロジェクトではPMを担当。

 

 

ベンチャー企業にて多種多様なシステム開発を担当。 2006年に問題解決型のソリューション会社を設立し、事業会社のシステム展開を支援。 2021年にEDUCOMと出会い、翌年にジョイン。 これまでの知見を活かし、製品戦略本部として課題解決を推進中。
「C4th US」開発プロジェクトではPMOを担当。

 
   


―「C4th US」と従来の校務支援システムの違い

伊藤:従来の校務支援システムとの違いで言うと、まずは「単位」が違いますよね。従来の校務支援システムは、自治体ごとに採用・導入されるため、利用者はその自治体に限定されますが、「C4th US」では、全国の学校がひとつのシステムに同居するため、アクセスするユーザーの数も今までとは桁違いになってきます。それに伴い、負荷の問題にも、配慮しなければいけません。また、教育委員会や先生は集まったデータを今までよりも大きな単位で活用できますし、子どもの転出入や先生の異動があっても、全国どこの学校でも使い続けられます。

大野:もうひとつの大きな違いは、オンプレミスからクラウドになることです。そして、クラウドと言っても「クラウドネイティブ」であるということが重要です。クラウドを活かす設計が前提なので、メンテナンスをしやすくして保守性を高めることができますし、さきほど伊藤さんが言っていた負荷の問題についても、スケーラブルで柔軟性のあるシステムを構築することができるので、お客様にとってよりよいサービスを提供できるようになりますよね。

伊藤:別の視点だと、現在、先生は「C4th」、子どもは「スクールライフノート」、保護者は「C4th Home & School」とそれぞれ別々のシステムを利用していますが、「C4th US」では、先生・子ども・保護者が、ひとつの同じシステムを利用できるようになります。システム同士の距離感が近くなりますので、より使い勝手がよくなるというメリットがあります。たとえば、先生が「C4th US」で授業の計画を立てて、その授業を受けた子どもが「C4th US」で振り返りを入力して、その授業のようすや学校での子どものようすを、保護者が「C4th US」で確認する。そんなことができるようになります。「C4th US」を通して、学校のようすが先生・子ども・保護者みんなに共有されるような、そんな世界観になるというのが、今までとの大きな違いですね。


 
   

―「C4th US」で日本の教育はどう変わるか

 
 


 

伊藤:これから先、教育のあり方や先生の子どもへの向き合い方、子どもの学びへの向き合い方は、どんどん変化していきます。EDUCOMは、そういった変化に対応しなければならない先生や子どもを支えたり、お手伝いしたり、寄り添える存在を目指しています。「C4th US」のコンセプトにも、「教育の明日を共創していく」という言葉があり、未来を共に創るという想いが込められています。よく「個別最適な学び」という言葉が使われますが、「C4th US」に集まってくる情報が、先生や子ども、保護者にいろいろな気づきを与えるきっかけになればいいなと考えています。たとえば、システムから得た情報をもとに、先生が子ども一人ひとりに声掛けをしたり、子どもが学ぶ楽しさを知ったり、「C4th US」で、そうしたいろいろな人が考えるきっかけや気づきの種になるような情報提供を行い、日本の教育を変えていけたらいいですね。

柳澤:今は、通知表の作成や成績の管理など、目的をもってシステムを使っていると思うので、「C4th US」は目的がなくても使うことが当たり前なシステムになるといいなと思っています。さきほど伊藤さんが気づきを与えるシステムと言っていましたが、それは、システムを使うことで先生や子どもたちの世界が広がっていくということなのだと思います。まだまだシステムの活用は断片的なので、「C4th US」を使うことが当たり前になっていくといいですよね。

 
   

伊藤:そうですね。当たり前になることが、変わるということなのだとすると、たとえば、先生が保護者にいろいろな情報をあれもこれもお渡しすることは、今は当たり前ではないかもしれませんが、「C4th US」で保護者に学校の日常のようすや子どものようすが当たり前に届けられるようになれば、先生と保護者のコミュニケーションも変わっていきます。もしかしたら、それも教育が変わるということなのかもしれないですね。当たり前じゃない状態が当たり前になったときに、先生の子どもや保護者への向き合い方や子どもの学びへの向き合い方も変わっていくのかもしれません。「C4th US」が当たり前になることで、先生・子ども・保護者が教育の未来をつくっていくお手伝いができればいいなと考えます。

 
   

―「C4th US」の開発に関わる人たち

伊藤:「C4th US」の開発プロジェクトは、バックエンドとフロントエンドにそれぞれ複数名のPMが立って、それらのチームを統括PMが束ねているという、大規模な開発体制になっています。今までのEDUCOMの開発は、だいたいが小規模システム開発を年月をかけて積み重ねて、大きなシステムをつくりあげていくという手法でしたが、今回の「C4th US」は、コストや納期を含めても、かなりの大規模システム開発になっていますよね。

柳澤:それに、「C4th US」の開発プロジェクトには、開発部門のメンバーだけでなく、セキュリティ部門のメンバーから教育現場をよく知る営業やカスタマーサポートのメンバーまで加わり、全社一丸となって開発を進めています。これは、教育現場の声を聴き、寄り添い、進めることが重要であると考えているからこその体制ですね。

伊藤:しかも、社運を賭けた一大プロジェクトなので、統括PMの役割を社長の泰平さんが担っています。これも今までなかったことですね。社長自らが関わるプロジェクトなので、意思決定が早く、価値あることや効果あることに集中して進んでいけると感じます。

大野:泰平さんは、もともとカスタマーサポートや営業を経験しているので、現場目線で、自分だったらどうするかという感覚を持っていると思います。また、リーダーシップがありますし、プロジェクトを大きく左右するような話も、ズバッと判断してくれていますね。

伊藤:プロジェクトに関わる経営層で言うと、CSOの下村さんも未来視点でこうあるべきなんじゃないかとプロジェクトを引っ張ってくれていますよね。現場のメンバーは、今に目が行きがちなので、下村さんは、お客様に今届けている価値と未来に届けたい価値のバランスをうまくとってくれていると思います。

大野:本人からは言えないと思うんですけど、伊藤さんのことを言うと、プロジェクトを進めるうえで全体のバランスをとることが、とても重要なのですが、その役割を全て担っているように感じます。プロジェクトは決断の繰り返しですが、大きな方向性を決める際には、意見がぶつかることもあります。そういったときに、どういう落としどころがあるか、バランスをとりにいく役割を一手に引き受けてくれていますよね。


 
   

―EDUCOMの開発の特長

 
   

大野: EDUCOMの開発には、問題を解決するためのソリューションを提案していく「ソリューションセリング」という考え方が強くあります。ニーズにただ応えるのではなく、こういう課題があるから、こうしなければいけないのではないかと提案ができるのは、これまで蓄積してきたノウハウがあるEDUCOMだからこそだと思います。会社全体の従業員のバランスを見ても、カスタマーサポートのメンバーがものすごく多いというのも、大きな強みです。

柳澤:お客様が多いということも強みになっていますが、カスタマーサポートのメンバーを通して、情報が入ってきて、いろいろな教育現場を知ることができるんですよね。それによって、製品戦略が立てられるわけです。たとえば、通常の受託開発で考えると、お客様が決まっているので、そのお客様の要望を実現できれば、ある意味、システム開発ができてしまうのですが、EDUCOMにはさまざまなお客様がいて、それぞれの声があるので、どういう選択をするべきかを常に考えて、製品としての戦略を立てるんですよね。

大野:もうひとつ難しい領域だなと感じるのは、お客様について、契約主体は自治体・教育委員会で、利用者は学校であるところです。その関係性を理解しているのも、EDUCOMの強みだと思います。


 
   

伊藤:教育委員会や学校が抱えている課題や解決したいことは、自治体ごとに違いますよね。EDUCOMには、それらの課題や解決したいことに、ひとつずつ向き合って、解決に向けて取り組むということを繰り返してつくりあげてきた土台があって、全国の小中学校10,000校へのシステム導入を実現しています。その土台をもとに、「C4th US」をつくっていくということが、まさに問題解決型のソリューションになっていて、それが特長的じゃないかと思います。そして、今度はその10,000校のユーザーに対して、それぞれの自治体にあわせた提案をしたり、ひとつのシステムとして提供するならどういう仕様にしていくのかを考えたりする。それが、「C4th US」の開発の面白さであり、醍醐味ですね。

 
   

―「C4th US」にかける想い

大野:今までの話にもありましたが、全国の小中学校10,000校にシステムを導入し、多くのお客様・ユーザーがいるというのはEDUCOMの強みですし、そのEDUCOMの教育業界への影響力はとても大きいと考えていますので、「C4th US」は、日本の教育現場を支えていくものになると思っています。子どもたちの未来のためのシステムですし、社会的意義の大きいシステムだと思います。

柳澤:私たち開発チームの目標は、単に新しい機能を提供することだけではなく、実際に学校で使ってもらう先生方の業務や、子どもたちの学びを支援することです。そのために、学校の課題やニーズへの理解と探求に真摯に向き合うことと、チーム力を大切にすることが必要だと考えています。メンバーそれぞれが自分の強みを活かし、多様な視点を取り入れることによって、「C4th US」では、より先進的なサービスが提供できるよう、取り組んでいきたいと思っています。

伊藤:これまで20年近く、EDUCOMはこの教育業界で、校務支援システムをゼロからつくって成長させてきました。その過程では、システムをもっとこうしたい、ああできたらいいのにと思う場面が山ほどありましたが、改修を繰り返すこれまでの開発でそれらを実現するのは難しく、なかなか着手することができませんでした。しかし、今まで着手できなかったその領域に、「C4th US」では挑戦ができるので、今までのその想いが大解放されて、今、暑苦しいくらいの僕らの想いを詰め込んだシステム開発に本気で取り組んでいます。よいシステムになるということは、絶対的に確信していますし、先生・子ども・保護者にとってもよりよいシステムをつくっていきたいと考えています。


 
    


※掲載している情報は、2024年7月現在のものです。